2006年 05月 12日

おなかを壊す3。

「(胃腸の)再検査してもらいます。」

僕は
そのとき羽田のANA本社にいた。
日差しのやけに強い夏の午後だった。

パイロット試験の5次試験である健康診断。

これをパスすれば
事実上、晴れてパイロットへの道が開ける。
(1次筆記、2次筆記、3次面談、4次英語面談でした。
ちなみに6次フライトシュミレーター、7次役員面談)


そう、僕はパイロットになるのが夢だった。

ただし、小学生のときの夢。

もちろん、音楽を志す僕は
パイロットになろうとは思っていない。

ただ小学生時代の夢のキップを
無性に手に入れたかった。



なぜ僕がパイロットを志したか。

それは少なからず母の影響を受けている。

僕の母は日本航空の客室乗務員だった。

もっとも出産を機にやめてしまったので
僕は働いている彼女の姿は
空港のタラップに立つ写真しかみたことがない。

彼女は当時のことを多くは語らないが
僕なりに二つのことを強烈に覚えていた。

それは
「ハワイにはパイナップルジュースの噴水があるのよ」
「家族は飛行機に乗り放題なの」

この二つの事実に
強烈に憧れた。
(のちに、初めてハワイにいったときにパイナップルジュースの噴水を見た。
 それはドールプランテーションにあったが噴水というより、無料のジュースサーバーか。(笑)
 いまはもうない。)


そして
日曜日になると「兼高かおる世界の旅」という番組を
食い入るように見ていた。



「24時間検尿をしてきてください。」

24時間検尿!?

それってすべての尿をもってくの!?
ポリバケツがいるなあ。。。

僕は一瞬あせったが
それぞれちょっとずつでいいみたいだった。


3日後、僕はその検尿をもってANAに向かった。
検尿の提出以外にまたいくつかの診断を行った。


それから1週間後、ANAから電話がかかってきた。

「健康診断の結果ですが、残念ですがパイロットには不適格という結果になりました。
ただ大変厳しい基準ですので、(胃腸に関して)普段の生活等に問題があるというレベルではありません。」


はあ。

夢が途絶えた瞬間だった。



ただパイロットの養成というのは
一人あたり5億とも6億ともいわれる。

入社して3年間はアメリカの研修所生活だった。


本当に
パイロットになりたい人に
キップを譲った。


そう思ったら
すがすがしい気分なれた。


おわり
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by eisukem | 2006-05-12 10:25 | その他


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