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ピアニスト望月衛介のe-message

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2014年 09月 14日

ジョーサンプル。

僕が敬愛するピアニスト、ジョーサンプルがおととい死んだ。

享年75歳。


小学校6年のとき、クラシックの束縛から逃れて
フュージョン/ジャズの音楽の旅にでて
あらゆるフュージョンを聴きまくったが
これといって好きな”ピアニスト”には出会えなかった。

そんな中、高校3年のとき
出会ったのがジョーサンプル。

もちろん、彼はもっと前から
クルセーダースというバンドで大活躍していたんだけど
僕はソロの彼の音楽が好きだった。

一番最初に聴いたのが
スペルバウンドというアルバム。
ジョーサンプル。_c0029779_225729.jpg











トミー・リピューマという天才プロデューサーの作品で
それまでやや泥臭かった音楽が
ほんとうにおしゃれに洗練されていて
かっこよかった。

なにより
ジョーサンプルのスタッカート奏法とでもいうべき
強く跳ねるような強烈なリズムとキレのいい弾き方が
誰が聴いても”ジョーサンプル”とわかる個性に
「ピアニストでもこんなに個性がだせるんだ。。」と
感動して
とにかく彼の作品を聴きあさって
コピーしまくった。


もうひとつ
彼を好きになった理由がある。

それは
音楽のルーツがブルースだったこと。


僕が
最初に所属した事務所、ビーイングには
ブルースの血が色濃く残っている。

その理由は
当時No.2だった、中島さんという人が
大のブルース好き、そしてブルースギタリストとしても
相当の腕利きだったからだ。

僕は
中島さんにちょこちょこくっついて
デビューまでの間、いろいろなアドバイスをもらっていた。

彼がアメリカ出張から帰って来たとき
2枚ぐらいCDをもらった。

どがつく
ピアノの古いブルース作品だった。

「こんなの弾けたらかっこいいよ」

そう言われて
僕は必至になって
コピーした。

いまから考えると
本当にブルースの基本中の基本の形だった。

そして
ポピュラーの音楽のルーツがそこにあることに
気がついた。


さらに
感情表現のルーツもそこにあることにも
気がついた。



そんな中、ジョーサンプルは
当時の僕にとってまさに理想的なピアニストだった。

ブルースフィールがあって
テクニック抜群
メロディアスで
サウンドは(トミーリピューマのおかげで)おしゃれ
そして誰にでもわかる個性。。



そんな彼のステージを
東京で2回みたことがある。

一度めは
ブルーノート東京2周年記念ライブ。

まだ小さい箱のときだったから
ほんとに間近にみられて
興奮した。

レニーカステロというパーカッショニストとのコンビは
最強で、リズムがほんとにキレッキレッだった。


2度目は
広くなったブルーノート東京。


このときは
正直最初にみたときのリズムのすごさは
感じなかった。

けど
レジェンドのステージを
食い入るように見つめた。

彼がステージを終えて
舞台を降りた。

控え室に向かう導線が
僕の席の横だった。

僕の横を通り過ぎた。


そして
アンコールで再び。


僕の目が彼と合った。

僕は自然と手を差し伸べた。

「THANK YOU」

肉厚な大きな手で僕の手を握りしめた。





あの日はもう来ない。






一番たくさん弾いた彼のピアノは
この曲かな。


Joe Sample - David T. Walker ‎– Swing Street Cafe
1Halleluja, I Love Her So
ジョーサンプル。_c0029779_2252881.jpg












今週のアートプロジェクトは
追悼曲にします。

by eisukem | 2014-09-14 22:06 | その他


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