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ピアニスト望月衛介のe-message

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2006年 06月 15日

ベーシスト青木智仁さん逝く。

青木さんにはじめて出会ったのは
いまからもう16年も前になる。

僕のファーストアルバム「Waitin' For You」の
レコーディングに来てくれたのが最初だ。

そのアルバムには
5曲、青木さんは参加してくたけれど
その日は「Waitin' For You」という表題曲と
「HEART OF MINE」という2曲をやった。

「Waitin' For You」はドラムの江口信夫さんと
一緒のレコーディングだった。

ローディをひきつれて
やってきた青木さんは
コンパクトエフェクターと
ベースをつなぐと
静かに待っていた。

彼らはそのとき初めて曲を聴くというので
まずは仮トラックをきく。

そして
せいので演奏をはじめた。

譜面はもちろん初見。

間違えるということは
なかった。

はじめて目の当たりにした
スタジオミュージシャンという人たちのすごさに
僕はただ緊張とあわせて
ほとんど唖然とその技に
見とれていた。


それから16年
僕はなにかと青木さんに
ベースをお願いするようになった。

出会った当初は
チョッパーの名手のイメージで
ベンベン言わしていたが
最近はまろやかで
太い音も自在に操り
まさにベーシストとしての存在感は
日本の音楽シーンにおいて圧倒的だった。


僕が衛介の活動を再開し
初めてライブをやると決めたとき
頭の中ですでにメンバーが決まっていた。

ドラム 江口信夫
ベース 青木智仁
ギター 梶原順

12年間、まったくライブをしてこなかった衛介だったが
彼らは快く引き受けてくれて
ファーストライブを無事に終えることができた。

ライブまえ緊張していた僕は青木さんに聞いた。

「緊張しないんですか?」
「するよ~、そりゃ。逆に緊張しないやつはだめだね。。。」

彼はそういって
僕の緊張をやわらげてくれた。


ライブが終わって僕は
自分のアルバムを差し上げたら
「じゃあ、今度僕のをきいて。」といって
後日、FOUR OF A KINDのアルバムを贈って
いただいた。

うれしかった。



その後、もう一度、一緒にライブをやらせていただいた。
ドラムは石川雅春さんだった。


ベースが安定していると
絶対的な安心感で演奏できる。

まさに
それを痛感したライブだった。


それから
一度もお会いできずに今日の日を迎えた。

いつもの通り
寡黙であった。

ただいつもと違ったのは
サングラスをかけることなく
目をつぶっていたことだけだった。


青木智仁、49歳。
ご冥福を心よりお祈りいたします。

by eisukem | 2006-06-15 17:19 | 音楽


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